2017年6月20日 お招き

月に一度の勉強会で知り合った宗翠さんの茶室開きにお招きいただきました。
正客は先輩の宗郁さん、私は詰客です。
宗翠さんのお宅は駅からタクシーで10分ほどの住宅街にありました。
数年前まで子供さん向けの教室を経営していらっしゃったそうですが、故郷のお母様の介護で閉じられたと伺っています。
現在お母様は施設で過ごされているそうで、宗翠さんも月に一度面会に故郷に戻られているそうです。


そこでご自宅をリフォームし、茶室と露地を整えられました。
ご自宅全体がシックなインテリアでまとめられた中、南に面する八畳の和室には、北側に水屋が設置され南側の縁側からは内露地が臨めます。
リビングの一部を待合に整えられ、仕切りには見事な和歌の色紙がちりばめられた屏風が使われていました。
この和歌はお母様のお筆だそうです。
そして待合の掛物には短冊が、これはお祖母様のお筆とか。
聞けば、お祖母さまは表千家茶の湯をたしなみ、お嫁さんであるお母様は結婚前から裏千家だったこともあり結婚後も裏千家で通されていらっしゃるそうです。
そして宗翠さんは、お母様のご意向で表千家の道に進まれました。
きっとお嫁さんであるお母様は、お姑様を立ててご自分の娘には表千家を選んだのでしょう。


そのままだったら宗翠さんと私の接点はなかったのですが、そこには理由が。
宗翠さんは結婚後はずっとお茶を離れており、再開のきっかけはお母様の介護だったそうです。
故郷に帰って介護していたとき、お母様の前でお茶をやってさしあげると、お母様がとてもお元気になられたそうです。
それで本格的に裏千家で再開しようと決心なさったのでしょう。


本席の掛物は、表千家即中斎家元のお筆になる「柳緑花紅」。
点心膳は大変美味しく頂戴しました。
宗翠さんはお料理が大好きで、懐石料理の方からお茶に興味を深められたそうです。
お菓子も手作の練り切り「朝顔」ご馳走様でした。


中立のあとで後入りしますと、床には涼しげな縞葦に紫陽花。
お道具はお祖母様お母様が愛用なさっていたものとお聞きしました。
珍しく拝見させていただいたのが、風炉でした。
丹波の立杭窯だそうで、ご出身の関西では珍しいものではないそうです。
灰型もお見事でした。
水指が信楽、茶入が瀬戸赤津窯、主茶碗が檜垣青子と見事な取り合わせ。
薄器は瓢型で立ち上がりに片輪車の蒔絵があり、これは祇園祭を意識なさったそうです。
薄茶の平茶碗も帆掛け舟の絵で琵琶湖を連想しました。
さすが三代続くお茶の系統です。
楽しいひとときをありがとうございました。