「茶話指月集」

現代語でさらりと読む茶の古典シリーズ
「茶話指月集」谷端昭夫著

 

 

「茶話指月集(ちゃわしげつしゅう)」ちなみに指月は行くべき道しるべという意味です。

原本は、宗旦の高弟である藤村庸軒(ふじむらようけん1603~1699)が記述しました。

本の内容は、前回の「江岑夏書」同様、宗旦からの聞き書きです。したがって内容はだいぶかぶっています。両書の大きな違いは出版にあります。

「茶話指月集」は藤村庸軒が亡くなって2年後、娘婿である久須見疎安(くすみそあん)が付記をつけて出版しました。逸話集としては最も早く版行されました。

一方、前回の「江岑夏書」は、近代(昭和17年)にいたって表千家13代即中斎宗左によって「茶道雑誌」の前身「わび」誌上に紹介されるまでおよそ300年にわたって公刊されませんでした。これは前回書いたように、跡継ぎが幼かったために書き残しておくという意味合いが濃かったからと考えられます。

先程も書いたとおり、内容はだいぶかぶっていますので、かぶっていないところで私が印象に残ったところを一つだけ記録しておきます。

 

利休茶湯に出す道具は栗に芥子(くりにからし、つまり甘い物に辛い物)を混ぜたように組み合わせるのが巧者とあります

- 重々しい道具にはさびて軽い物

- 大きい物には小さい物

- 肩衝の茶入を出したときは薄茶は棗

- 丸壺の時は中次

- 雲龍釜には平たい盥(たらい)の水指

- 大風炉の敷板には小板

 

したがって大海茶入に平棗はペケですね