「茶の湯随想」鈴木宗保著

この本を手にするのは二度目になりますが、何度でも読みたい本です。
故鈴木宗保先生は明治15年に仙台の一番町で生まれました。
私も仙台出身で、お茶を始めたのも仙台でしたから、郷里から鈴木先生のような偉大な方が出られたことがとても嬉しいです。
ご実家は仙台藩の武道指南番で二百石のお家柄。
維新で武道がすたれ、広い屋敷の一隅を茶人に貸していたのが茶の湯にふれるきっかけでした。

 


茶人は名を清水道艦(清水家十代)といい、その先祖が伊達政宗に仕えていたといいます。
二代まではどうやら遠州流だったようですが、三代目から石州流になったようです。
石州流は武士の茶です。

 

この本は興味深い事柄で溢れています。
鈴木宗保先生は、円能斎宗匠のもとで業躰先生としての修業を積み、淡々斎宗匠そして鵬雲斎宗匠にお仕えしました。

 

宗匠を身近なところで支えた先生なので、各宗匠の日常の様子がいきいきと述べられていて、まるで私もその場に居合わせたかのような気分になります。
円能斎宗匠の愛情のある厳しさ、淡々斎宗匠はお心がきれいで親しみやすいご性格、鵬雲斎宗匠の凛々しさ…
先生はご長命で90歳を過ぎてからもお稽古をつけていらっしゃいましたが、先生が41歳の時、円能斎宗匠が52歳で亡くなられ、さらに81歳の時淡々斎宗匠が71歳で急逝なさって、その時のお悲しみはいかばかりか、私も涙で文字がかすみました。

 

各随筆のタイトルも興味深く、瞬時には理解できないことが多く、それを調べながら読むのもまた魅力的です。
例えば、「舌上に龍泉あり」「折水」「新咄蘂」「艸雷」…
関東大震災の後、お家元の指示で先生は北海道に渡り、北海道でお茶を広めるためにご尽力なさったということもわかりました。

 

数年前新刊本も出ましたが、私は図書館から借りてきた初版本が好きです。
今は使われていない漢字も出てきますが、色の変わったページが、先生の生きた時代をよく表しているような気がして気に入っています。

主菓子「あやめ」

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左:手製「あやめ」 右:両口屋是清製「わか紫の風」

「あやめ」は黄身餡を包んだ練り切りを茶巾絞りにしました

両口屋是清製「わか紫の風」は、久し振りに見えた先輩からいただきました。

紫の所以は、ブルーベリー。

村雨でブルーベリー餡をサンドしてあります。

村雨の材料は、餡と米粉と餅粉です。

混ぜて着色し、裏ごしをしてから型に入れ少し押さえてから蒸しあげたものだそうです。

いただくとホロホロして口当たりが良かったです。

ブルーベリー餡は初めてでしたが、源氏物語「若紫」を思い出しながらいただきました。

主菓子 「岩根つつじ」

公園の躑躅も庭の躑躅も満開です

お茶の世界では、「岩根つつじ」の銘をもつお菓子が多いです。

「岩根つつじ」って公園や庭の躑躅ではなさそうだけど、どんな躑躅

 

 

和歌歳時記によると、王朝歌人達が見たつつじは山躑躅なんだそうです。

特に岩の根元に咲いた躑躅を好み、これを「岩根のつつじ」というそうです。

新続古今集藤原定家がよんだ歌があります。

竜田川いはねのつつじ影みえてなほ水くくる春のくれなゐ」

竜田川をくくり染めにするのは秋ばかりではない、躑躅の影が川面に映って春も紅の色に水を染めている

 

 

ハイキングは好きですが、花粉症でこの時期は遠出したことがなく、岩根つつじを見た経験はありません。見てみたいなあ。

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粒餡のきんとんです 粒餡にするとみなさん必ず「おいしい」と言ってくれます。親和会の皆さんはほとんど粒餡派です。

 

主菓子にも干菓子にも使える「桜川」 

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清 真知子さんの「作ってみたい茶席の和菓子十二か月」から桜川です

白く見える部分は、本来は薄い水色で川を表し(青色は蒸したとき色が飛んでしまいがちです)、かるかん生地です

中の草色は、土手に若草が広がっている様子、こなし生地です

ピンクは、川面にせり出す満開の桜で、かるかん生地です

春の陽ざしの中、穏やかに流れる川辺の情景を思い浮かべるお菓子 いつも清さんの本にお世話になっています

切り方が上手くいかず、両脇がでこぼこになってしまいました