2008年1月26日

新年になると床の掛け物に「松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)」をよく目にします。
私も10年ほど前にお正月に相応しいものを探していたとき、これなら無難だと軽い気持で色紙を買い求めました。
そして他の軸を持っていないこともあり、一月はいつもこの「松樹千年翠」を掛けることになります。


松は松竹梅のひとつでお目出度い席にはつき物ですが、禅語であるからにはそれだけのものではないはず…
そんなことを思いながら三田富子著「取り合わせの工夫」を読んでいたら、出ていました。引用させていただくと、


この松樹千年翠は、「松柏千年の青、時の人の意に入らず、牡丹一日の紅、満城の公子酔う」という偈(げ)のうちの前の句で、すなわち、時の人の心に入らず、年中緑青々していると人はあまり気にもかけないが、紅の色あざやかに咲く牡丹はすべての人がもてはやすというのである。(偈とは禅僧の悟りの境地を韻文の体裁で述べたもの)


こんな意味があったのですね。著者は、
「この一行を見て、自分の心の内をのぞき、今年こそ紅にも緑にも目を向け、意に深くきざみましょう。」
と語りかけています。

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今日のお菓子は島根三英堂さんの“白椿「四ヶ村」”を我家の椿の枝においてみました。
美しく美味しいお菓子でした。