コロナ禍での茶事

二月初旬の日曜日、稽古の一環として正午茶事を行ないました。
極寒の季節といえば大炉です。

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我が家に大炉は切っていないので、貸茶席を利用させてもらいました。
その茶席は、駅からほど近いビルの最上階にありました。
書物から得た「市中の山居」という言葉に実感を持てないでおりましたが、
まさにこの茶席のことと納得しました。
露地がことに素晴らしく、春の光が満ち溢れ、一輪の白い椿がちょうど躙り口を向いて咲いており、傍の塀に少し大きめの鳥が私達を出迎えるように止まっていたので感激もひとしおでした。

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腰掛待合

寒さ対策とともに大事なことが感染対策です。
まずは手洗い、検温からスタートです。
蹲居は柄杓を使い廻しするので諦めて、湯桶石にアルコールを置き手指の消毒をして席入りしました。

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内露地

懐石は取り回しを一切避け、お膳に初めから木杯をセット、あとは銘々皿を多用しました。
向付の皿を下げて、焼き物皿、次にそれを下げて海の物・山の物・香の物の皿というふうに。
燗鍋は亭主が少量をついで廻り持ち帰ります。
湯漬けをいただくために必要な湯斗は、客に飯椀・汁椀の蓋をとってもらい、亭主が注いであげます。
皆さん黙食して、歓談するときはマスクをしてから。

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白梅、乙女椿



濃茶、薄茶とも勿論各服点です。
主菓子は懐紙にのせて、干菓子は個包装のままということで、安全策をとりました。

亭主は、慣れない逆勝手の点前に加え、懐石もいつもとはちょっと違った提供の仕方でご苦労なさったことと思います。