2015年4月29日 お祝いの茶事

親和会メンバーの二人がそれぞれ結婚することになりました。
正確に言えば、一人は入籍を済ませ既に一緒に暮らしています。
二人からお話しをいただいたのは昨年の暮れから今年の新年にかけてのことでした。
二人は歳も近く、親和会に入られたのも数か月違いでした。
いつも仲良く共に稽古を続けてこられました。
結婚まで同時期とは驚きです。
二人とも我が娘のような気持ちで接してきましたので、お話しを伺った時はとても嬉しかったです。
お祝いの気持ちをどのような形で表そうかとしばらく考えておりました。
お茶の道具をプレゼントしようか、レストランを予約して親和会のメンバー皆さんで集まろうか…


二人とも結婚後も親和会に通って来てくれると言っています。
それならお相手の理解と協力がなくては長くは続きません。
と言うことで、稽古場に二組のカップルを招いてお茶を差し上げることにしました。
流れは一応茶事形式にしますが、懐石にあたるところをカレーパーティーに決めました。
それぞれのお相手はお茶が初めてなので、適度にリラックスしていただく時間帯が必要だと思いました。
亭主は稽古日が同じグループのKoji○○さん、Kashi○○そして私の3人が交代で勤めることにしました。
カレーは前日に我が家にある鍋の中で一番大きな鍋に作りました。


11時のご案内です。
待合に、十五代の扇面「吉祥」を掛け、桜湯を出しました。
腰掛待合はサンルーム。
青葉の美しい季節になり、ハナミズキの白と、もう残り少なくなった八重桜のピンクが彩をそえています。
迎え付けは私。
蹲踞で手を清めていただき和室に入っていただきました。
床の拝見や道具の拝見はなしにしてすぐにすわっていただきました。
私が入って挨拶。
二組のカップルに心からお祝いの言葉を述べました。
床は泰道老師筆「松菊萬年歓(しょうぎくまんねんのよろこび)」
松も菊も日本を代表する樹木草花です。
松は常に緑を保ち真っ直ぐで力強く雄々しいイメージがあります。
一方菊は清楚でありながら優雅でしかも気高く、まさにTomo○○さん、Hiro○○のようです。
松は菊と相まって萬年の歓びであるということから、二組のカップルの末長い幸福が確信できる語句ではないでしょうか。


挨拶が終わったところで男性お二人には脚をくずしていただき、あまり作法にこだわらず、お茶の雰囲気だけを味わっていただきたいと思いました。
ここで亭主はKoji○○さんにバトンタッチ。
透木釜で初炭をしてもらいました。
たいした道具ももっていない私ですが、香合だけは福亀香合、伊藤桂楽さんです。
その間私はカレーパーティーの準備です。
我が夫も大活躍で、補助テーブルを組み立ててくれたりお皿を並べてくれたり。


カレーパーティーは私の予想通りとてもリラックスしていただけたようです。
二組のカップルにちらりちらりと目をやればとても良い雰囲気で、なにげない仕草の中にも愛情が感じとれ、
「これぞ幸せのお裾わけ」と心が温かくなりました。
カレーパーティーの終わりに銘々皿でお菓子を出しました。
銘は芍薬 薄ピンクのきれいな練りきりで鶴乃家製。
靴下では草履が履き難いのでサンルームへの中立はやめにして、トイレ休憩のあとそのまま和室に入っていただきました。


ここで亭主はKashi○○さんにバトンタッチ。
釜の煮えがよすぎて(透木釜は炉釜よりは小さいもののそれでも4リットル以上入りますが初炭から2時間、湯を沸きあげた炭はまだまだ勢いがあります。)
仕方なく中蓋の直前に釜の湯を数杓汲みだして水を注さざるをえませんでした。
中立のときに炭をいくぶん取りだすか、灰を被せておけば良かった。
何が一番難しいかというと、やはり釜のコントロールですね。
私もまだまだ経験不足です。
鶴の楽茶碗で濃茶をさしあげた後、薄茶の前に炭に灰を被せて火力をおさえました。


薄茶の亭主は再びKoji○○さんが勤めました。
一巡したところでHiro○○さんがパートナーに点ててあげ、
Tomo○○さんがパートナー自ら手づくりしてTomo○○さんにプレゼントしたという抹茶茶碗を持ち出してお点前しました。



楽しい時間を共有できたことを感謝すると共に、二組のカップルの末長いお幸せを祈ります。
スペースの関係で今日お呼びできなかったグループの皆さんからもお祝いのメッセージをいただき色紙にしてお渡ししました。