2014年10月3日 円覚寺御供茶式

北鎌倉の円覚寺において玄室大宗匠の御供茶式があり参列してきました。
全国各地の神社仏閣で折々に式が催されますが、裏千家では寺の場合を御供茶式、神社の場合を御献茶式と表しているようです。
いずれの式にも参加したことがなく、今日の御供茶式が初めての経験でした。


円覚寺では、開山された無学祖元禅師の命日法要を毎年10月3日に執り行っているそうですが、御供茶式を毎年やっているわけではなさそうです。
さて、先日の研究会で購入した券には受付が8時〜14時とあります。
「御供茶式参列」「点心」「鎌倉支部による濃茶席」「横浜支部による薄茶席」の4枚の券があります。
私の目的はなんといっても御供茶式参列にありますから、これが何時に始まるかが重要です。
私は11時と耳にしましたが、ある方は10時、ある方は9時半とお聞きしましたとのこと。
主催が円覚寺さんなので淡交会の役員の先生達も把握できないことなのかもしれません。
あとから聞いた話では、お茶席は確かに8時に始まったそうです。
役員の先生方は早朝からの御準備大変だったこととお察し致します。
私は9時に到着、早速「御供茶式」が厳修される仏殿へと向かいました。


開始まで列を作って待っていました。
私の何人か前にいらっしゃった方が急に具合が悪くなられ、近くにいらっしゃった方が雲水さんを呼び止めて椅子と水をお願いしました。
あとから思えば軽い熱中症だったと思われます。
あの日は残暑が戻って、日中は30度を超えました。
その方は水も飴も用意して来られたそうですが、茶席に大きな荷物は禁物と入口で荷物を預け小さな巾着ひとつだけお持ちでした。
雲水さんが持って来て下さったコップ1杯の水がその方のお身体に浸み渡った頃、嘘のようにお元気になられました。


その方がこうおっしゃいました。
「私は玄室大宗匠の御供茶式に参列するために今朝7時にタクシーで駆けつけました。ですから気分が悪くなったくらいで諦めて帰る気にはなりません。茶道を教えている立場としては現状に甘んじることなく常に向上心を持ち続けることが大切だと思っています。こういった場にも参列して社中の皆様にお伝えしなければなりません。先ほど気分が悪くなって意識が薄れた時、この場で息が絶えても本望だと思いました。」
私はお話しを伺って気骨のある先生だと尊敬の念を抱きました。
椅子だ水だと大騒ぎしていた時は、「周りに迷惑をかけないでお帰りになった方が良いのに」と思っていた私でしたが、お元気になられたお姿を拝見してその方のお心意気を伺った後は、すっかり味方になっていたのでした。


いよいよその時がやって来ました。
10時30分仏殿への入場を許されましたが、全員が立ち席のためどこに陣取ればよいのか見当がつきません。
あっという間に人垣ができてしまいましたが、やっと大宗匠の後ろ姿を遠くから拝見できる位置を自分の立ち位置に定めました。
最前列とはいかず3列目ぐらいでしたが、人と人の隙間からちらちらでも拝見できればと思いました。
ところが、開始直前(もちろん大宗匠はまだお見えではありません)大勢の御坊様がご入場し二重三重に列をなしたのです。
こうなると私の位置からは御坊様の後ろ姿しか拝見できません。
宗匠がお点前をなさるのはそのはるか向こうです。
あわてて反対側に廻ってみたものの、そこには既に大勢の一般参列者がいたため残念なことでした。


結局大宗匠のお点前するお姿は拝見できませんでしたが、荘厳な雰囲気は十分感じることができましたし、大宗匠五体投地に近い姿勢でお参りなさっているお姿を拝見することができました。
約1時間で式は終了しました。
円覚寺さんのウェブサイトにたくさんの写真が掲載されています。
居士林だより | 円覚寺